日常の疲れを癒す現代人のオアシス。それがお風呂。
入れるものなら毎日入りたい人も多いのではないでしょうか。
それでも毎日お風呂を沸かすとガス代が天井知らずで上がっていきます。そんな時頼りになるのが追い焚き機能。
ボタン一つで一度使ったお風呂を温めなおしてくれるこの機能、いったい何日まで使えるでしょうか。
追い焚き機能を使った時と、毎日お風呂のお湯を沸かした場合を衛生面とガス代、水道代の節約額で比較して解説します。
追い焚きは2日目までが限界
最初に、結論から言って追い焚き機能は2日目までが限界です。
追い焚き機能を使用する場合、気になる点は大きく2つだと思います。
一つは雑菌の繁殖、二つ目がお湯を張り替えた時のガス代、水道代の節約額。
この二つから考えて3日目以降の追い炊きはおすすめしません。
この結論に至った理由をまずは雑菌から解説します。
雑菌の繁殖
2日目以降の追い焚きはリスクとの闘いです。
2日目からお風呂のお湯にぬめりやニオイが気になった事はないですか?
一度しか使っていないのに翌朝には湯船が濁っていた…なんて経験もある方が多いのではないでしょうか。
これらの原因は、入浴時に体についた皮脂や洗い残しが原因で雑菌が繁殖してしまう事が原因です。
お風呂のお湯は初日に比べて1日経つごとに雑菌がどのくらい繁殖するのかが問題ですね。
お風呂の菌数は一晩放置すると、約1,000倍に増加する。
お風呂のお湯を張った時と一晩放置した後の雑菌繁殖度は約1000倍も増える事がわかっています。
以下のデータは衛生微生物研究センターがまとめたデータです。
入浴人数 | 入浴前 | 入浴直後 | 一晩放置後 |
---|---|---|---|
2名 | 40 | 110 | 250,000 |
3名 | 40 | 360 | 290,000 |
5名 | 80 | 2,700 | 1,200,000 |
入浴人数が増えれば増えるほど翌日の雑菌繁殖が活発になるのがわかりますね。
たとえ一人暮らしの場合でも大量の雑菌が繁殖してしまいます。
ただしお風呂で繁殖する雑菌はそのほとんどが元々人間に備わっている共生関係にある雑菌です。
翌日以降の湯船につかっても大きな病気を患ったりする事はほとんどありません。
ただし、すべて安全な菌というわけではありません。
発熱や肺炎を引き起こしてしまうレジオネラ菌という雑菌が繁殖してしまう事があるので気を付ける必要があります。
レジオネラ菌って?
レジオネラ属菌とは、自然界(河川、湖水、温泉や土壌など)に生息している細菌で、感染するとレジオネラ症を引き起こします。
温泉浴槽内や河川で溺れた際に汚染された水を吸引・誤嚥したことによる感染事例が報告されています。
雑菌の繁殖を考えるならお湯の張り替えが無難
雑菌の繁殖を考えるなら、やっぱり毎日バスタブを掃除してお湯を張り替えるのが正解です。
特に高齢者や小さい子供等、免疫力が低い人がいる家庭ならお湯を誤って誤飲してしまう事もあるので1日で使い切るのが良いでしょう。
入浴剤を使った後は追い焚きできる?
お風呂では入浴剤を使う事もありますよね。
香りや発汗促進でリラックスできたり、いつものお風呂よりスッキリできるのでいつも使ってる!なんて方も多いです。
そんな入浴剤ですが、一部の入浴剤は追い焚きできない入浴剤もあります。
例えばバスソルトやバスボムなどなど…
追い焚きと入浴剤の関係は専用記事もまとめているので気になった方は見てください。
特におすすめな追い焚きOKな入浴剤(エプソムソルト)
追い焚きもしながら毎回入浴剤も楽しみたい!そんな方に特におすすめな入浴剤がエプソムソルト。
色々なメーカーから発売されていますが、【Dr Teal’s エプソムソルトが良い香りでおすすめ。
原材料がマグネシウムなので浴槽を痛める心配がなく様々な良い効果が得られます。
続いてコストの面から考えて追い焚きと張り替えどちらが良いのか解説します。
追い焚きとお湯の張り替えの費用差
コスト面を考える時ガス代と水道代それぞれでいくら程度違うのか調べてみました。
もちろん地域のガス、水道会社によって料金は違うし、同じ会社でも契約内容によっては変わってくること多くあるので確実とは言えません。
なので今回は一番ユーザー数が多いであろう東京ガス、東京都水道局の料金から比較してみます。
ガス代は水温次第。同じ水温ではコストは変わらない。
東京ガスの基本料金から調べてみます。
東京ガスではガス料金の計算方法を公開しているのでそこから自動シュミレーターを基に調べてみました。
その結果、2023年現在、1㎥あたり973円でした。
この料金から追い焚き、風呂水の張り替えをそれぞれ計算します。
種類 | 使用料 | 金額 |
---|---|---|
追い焚き | 0.25㎥ ~ 0.3㎥ | 243円 ~ 291円 |
張り替え (風呂自動) | 0.25㎥ ~ 0.3㎥ | 243円 ~ 291円 |
ガス代は冷え切った水を温めなおす場合、張り替えと金額差はありませんでした。
そもそも水を温める為にガス代を使用するので水の温度が変わらなければガス代も変わらないです。
冬のガス代が上がるのはそもそもの水温が低いからなのがわかります。
※保温機能付きのバスタブやぬるくなったお湯の追い焚き等、水道水よりも風呂水の温度が高い場合に限り、追い焚きのほうがガス代が安いです。
夏場等、風呂水の温度によっては1回あたり約50円ほど追い焚きが得になるケースもあります。
水道代はお湯の張り替えが高い
お風呂のお湯をためる場合、一般的な浴槽で肩まで浸かる量をためると、約200Lの水を使用します。
東京水道局の料金を基に試算してみると200Lあたり約35円ほど使用する事になります。
張り替えの場合、毎日使用すると31日計算でお風呂だけで約1082円。
追い焚きで済ます日数を増やせば新しい水道代はかからない為、より節約額の差が生まれるようになります。
追い焚きのほうが得。でもそこまで大きく変わらない。
ここまで書いて明確に金額差が生まれるのは水道代のみ。
2日に1回で考えると約500円ほど月額で浮くので年間6,000円ほど節約できる計算です。
3日でも毎月700円、年間で8,400円の節約です。
1年を通して考えれば春夏等、水道水よりも風呂水の温度が高い時期もあるのでもう少し料金差は生まれるかと思いますが、毎月何千円も得をするわけではないですね。
追い焚きの最大のメリットは時短。忙しい現代人の味方
追い焚きと張り替えでは雑菌は爆発的に増え、節約できる金額はそこまで大きくない事がわかりましたね。
では追い焚きをするメリットは何だと思いますか?
私は掃除回数の削減=時短できる事が最大のメリットだと思います。
お風呂掃除~湯沸かしまでに毎日30分~1時間使えますか?
仕事終わりの疲れた体で毎日風呂掃除なんて作業をしていると、あっという間に就寝時間が近づいてしまって結局ゆっくりお風呂に浸かる事ができなかった…
折角のリラックスできる時間を確保しようとしているのにこれでは本末転倒です。
毎日お風呂掃除をするよりも、数日に1回の掃除でできる追い焚き機能は日々仕事や作業に追われている方にとって魅力的ではないでしょうか。
現実的に追い焚きを使っていくには【2日目が限界】
現実的に追い焚き機能を使う場合、「張り替える場合の水道代よりも安く、手間のかからない方法」で雑菌の繁殖を抑える必要があります。
そんな時の為の風呂水除菌グッズが販売されています。
おすすめはこのあたり。ちなみに私は花王のふろ水ワンダーを今は使ってます。
こういった除菌グッズであれば、お湯の張り直しをした時よりも水道代を節約しつつ除菌されたお風呂に入る事ができます。
中身はこんな感じ。
この錠剤を入れた後のお湯は、確かに2日目特有のぬめりやニオイを感じなくなり快適に利用できました。
増える作業も錠剤を湯船に入れとくだけなので楽ちんなのが良いポイント。
追い焚きで使うとしても『なるべく2日目も綺麗なお湯にしておきたい。』
そう思った方には湯船に残った垢や髪の毛の除去グッズもおすすめです。
手間は少し増えますが、一緒に使ってみるとより清潔で綺麗なお湯で安心できます。
ただし、除菌グッズも100%雑菌が消えるわけではありません。なので3日目以降はおすすめできません。
年に1度は追い焚き釜の配管クリーニングもおすすめ
『追い焚き機能を良く使うけど清潔さは極力維持したい…』そんな方には配管クリーニングがおすすめです。
配管クリーニングをしたほうがいいのは追い焚きの仕組みが原因でして。
お風呂の「追い焚き機能」は浴槽のお湯を追い焚き配管から追い焚き釜で温められて浴槽に戻ってきます。
という事は、お湯に含まれた汚れや菌などが追い焚きのたびに配管内部に残っていき、『見た目には清潔なお湯でも雑菌だらけ…』なんてことになる事も。
配管の雑菌が原因で、最初から雑菌だらけのお湯につかる事になってた!なんて最悪ですよね。
こんなことを避けるためにも、『年に1度は配管掃除』。これをやっておくと清潔にお風呂に入れておススメです。
風呂釜洗浄キレイユ (お風呂の追い焚き配管クリーニング)
お金と時間があるなら追い焚きはおすすめしない。
追い焚きは確かに節約にも時短にもつながりますが、雑菌の危険と隣り合わせ
コストと時間は一番かけても問題ないなら、毎日清潔なお風呂が好きな方には張り替えが無難でしょう。
毎日清潔なお風呂に入れるのが1番です。
小さい子供や高齢者等家族で暮らしているなら、なるべく避けるか家族で役割分担して毎日掃除とお湯の張り替えがよさそうですね。